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2021.07.08ROKKAN

待つための場所

「待つための場所」

待つことが嫌いだ。

行列にならぶのは嫌だ。注文したものが届くまでの時間が嫌だ。

 

 

 

小学生のある夏。両親が毎週、住宅設計の打合せに行き始めました。おそらく2、3時間待つ間、自動車の中には8トラックオーディオがあるだけで、ビートルズの曲を演奏するオーケストラがエンドレスに流れていました。そんなわけで僕にとって「Strawberry Fields Forever」はジョン・レノンが歌っているものよりも、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団のインストゥルメンタルの方がいまだにピンときます。

 

 

信号待ち、駅前での待ち合わせ、病院での診察の待ち時間。ホームで電車を待っている時間。人の一生の中で、何かを待っているだけの時間はトータルでどのくらいになるのでしょうか。人生の約3分の1は寝ている時間だそうです。だからマットレスや枕は良いものにしましょうと言われていますね。待ち時間も出来るだけ快適に過ごしたい。 

 

 

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ペットは飼っている人にとってはかけがえのない存在ですよね。

スーパーなどの駐車場で車の中で買い物の帰りを待っている犬をよく見かけます。夏場は特に危険です。人間と違い汗をかかないので場合によっては6分間放置されるだけで生命の危険があるそうです。犬が安全に待っていることが出来るこんな場所があればいいのにと思います。

 
 

さて我々人間といえば待ち時間はスマホばかり見てしまいます。

フランスのShortEdition社が開発したのはボタンを押すとランダムに文学作品が紙で印刷されてくる無料自動販売機「The Short Story Dispenser」。人が待ち時間を持て余す駅、病院、カフェ、ホテル、大学のキャンパスなど世界各地2000ヶ所に設置されているそうです。あえて紙に印刷というところがいいですね。

©Olivier Alexandre - Short Edition

 

 

 

大きな病院では待ち時間が長い事が多く、複数の検査があると丸一日かかってしまいます。大体はベンチがあるだけで、体中痛くなってしまいます。スマホを見ていることも多く、首にも負担がかかります。せめてこんな椅子で待てたらと思います。

 

 

屋上を緑化ではなく庭園化する病院も増えています。


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屋上のスペースに季節の花々や談笑のできるテーブルセットなど、入院される方々が長期の治療の中で少しでも苦痛を和らげ前向きに闘病に向き合えることの助けにしたいとの思いで作られているようです。退院を目指す期間過ごす場所にこんなスペースがあれば励みになる人も多いのではないでしょうか。

 

生活の中には、小さな事から大きな事まで避けることのできない苦痛が存在します。出来ることならその苦痛を和らげ、もし可能なら少しでも楽しみに転換できるような計画やデザインをしたいと僕たちは思っています。

 

 

 

 

 

Author:葛谷征巨(EAST事業本部)

Illstration:平川真矢(EAST事業本部)