今やスターバックスはあらゆる商業施設にとって欠かせない存在となっているように感じられる。
私がスタバに通う時の密かな楽しみは、都心の店舗に多く集まる外国人の会話をこっそり聞くことだ。
他のカフェにはない異国感を手軽に感じられるからである。

都心には文字通りどこにでもあるスタバだが、今年6月にJR国立駅の駅ナカ施設にスターバックスの“サイニングストア(以下、手話ストア)”が日本で初めてオープンしたというニュースを見た。

スターバックス コーヒー nonowa国立店

私は懐かしく、嬉しい気持ちになった。というのも、スターバックスの手話ストアには、学生時代マレーシアで留学していた頃に訪れたことがあったからだ。

マレーシアのその手話ストアは、世界に5店舗しかない店舗のうちの、なんと世界1号店だった。
その1号店は、あまり世界1号店のにぎわい感はなかったが、聴覚に障がいを持ったスタッフ達の生き生きと働いている姿がとても印象的だった。そんな出来事もあり今回ご紹介する。

スターバックス“サイニングストア(以下、手話ストア)”

手話ストアnonowa国立店に行くと、店頭サインのSTARBUCKSの文字の上にある指文字のサインが目を引くので、何か特別な店舗だと感じさせる。

指文字のサイン

通常のスターバックスの店舗ではスタッフの声が元気に飛び交うが、手話ストアではそれが無い。
その代わりに、スタッフ同士は素早い手話でシャキシャキとコミュニケーションをとる。カウンター周りには、注文を指差しで説明するためのサインや、すぐに実践できそうな手話の説明書きなどがある。

客席の壁面にも、‘OISHII’ ‘COFFEE’など、様々な手話をかたどった大きなアートがある。

‘OISHII’ ‘COFFEE’など、様々な手話をかたどった大きなアート

いざ注文。
相手に自分の声はおそらく聞こえていないし、マスクでほとんど表情の動きも見えないし…と考えていると、スタッフが指差しで注文の仕方を丁寧に示してくれた。私も指で示すほかにゆっくり、表情も分かりやすく伝えようとした。
注文の際、皆そうなっているように見えた。
注文の際、皆そうなっているように見えた。注文前の席取り争いで心が一瞬忙しくなっても、注文時にはすぐに優しい心に切り替わるような感じがした。

スターバックスの手話付きメニュー

スタバでのわたしの楽しみの1つは、会話という「音」を聞くことだが、この障がいを持つスタッフの人たちが感じるスタバの空間はどんなものだろうか。

withコロナのこんな時だからこそ、身近な生活の中の、新しい発見やすてきな出来事がより楽しめるように感じる。
このようなコンセプトストアがもっと増えたらいいと願う。

スターバックスの手話付き案内板

※写真はすべて筆者撮影による

スターバックス コーヒー nonowa国立店

東京都国立市北1-14-1 nonowa国立

営業時間: 7:00-22:00

Author:Mei Yonemura

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