長野県諏訪市の「リビルディングセンタージャパン」のパッチワーク窓

一度使用された製品を、そのまま、もしくはその製品のある部品を再利用すること。
本格的な循環型社会の形成のために社会構造的にリユースの流れを作ることが望まれている。

リユースされた製品やデザインが好きだ。
再利用するだけの価値がある様(さま)、
もしくは再利用することで新たな価値を獲得している様(さま)が好きだ。

チャーチチェアはカフェなどで良く再利用されますね。
長い間丁寧に使われているので風合いがあります。大切に残したくなります。

チャーチチェア

長野県諏訪市の「リビルディングセンタージャパン」のパッチワーク窓。

この窓は、古い家屋などからレスキューしてきた建具をパッチワーク状に組み合わせてつくったものだそうです。
風合いが素敵ですね。それに長年使われてきた物を廃棄する切なさもなくて済みます。

中国ラーメン「揚州商人」では上海の骨董市で購入した本物の中国欄間を再利用しています。
「昔の上海の町並み」というコンセプトを表現するためです。

中国ラーメン「揚州商人」の中国欄間

「ある物」が、とても良い雰囲気だし、新しく作るより魅力的なので積極的に利用したいと思うことがリユースすることの一つの目的です。
また別の目的として、素材を再利用することで新たな価値を生む事があると思います。

チューリッヒの「フライターグ」はヨーロッパのトラックの幌を再利用してバッグなどのプロダクトを作っています。
僕の好きなガンダーラ井上さんはイニシャルのGが偶然入っているのを探して手に入れたそうです。
どのバッグもリサイクル素材を使用した一点物のアイテムです。
本来は廃棄される素材を再利用していてデザインもいいし、防水性があり機能的です。

チューリッヒの「フライターグ」のバッグ

「Makers Unite社」はシリアからヨーロッパへ逃げてきた難民が、浜辺に大量に捨てたライフジャケットをリメイクしてトートバックなどのプロダクトを生産、販売しています。

シリアからヨーロッパへ逃げてきた難民
「Makers Unite社」のライフジャケットをリメイクしたトートバック
maya hirakawa

難民問題を意識させる。難民の仕事を確保する。そのためのクールなデザイン。
リユースすることで新たな価値を獲得しています。

そしてもう一つ。
リユースが必要なのは、「ある物」の来歴がその空間の表現として必要な時です。
以前、「にんべん日本橋本店」のリニューアルの計画時、メインエントランス前の商品陳列には鰹節生産時の様子を表現したかったので、鰹を蒸し上げる工程で使用する「せいろ」の実物を使いました。

にんべん日本橋本店
shinichi sato
インエントランス前の商品陳列ディスプレイ

写真中央下のディスプレイです。その下は窯をイメージした台。
そのお店のアイデンティティに関するパーツを流用することで「メッセージ」を織り込んだり雰囲気を出すことが楽しいですね。
リユースしたい「物」にはその時点の魅力もありますが、それまでの経歴、物語の魅力を再利用することで表現することが出来ると思います。

全て廃棄してしまう前に、何か残せる価値がないか?
考えるようにしたいです。

Author:葛谷征巨(EAST事業本部)

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