マーケットの動き

ビヨンドジェンダーマーケット Vol.1

 D2CやSNS広告を中心に、ユニセックスの基礎化粧品やケア用品が目に留まる機会が多い。ファッションだけでなく、コスメ業界にまで「ジェンダーフリーがいい」という空気感が流れているようだ。
 富士経済の「化粧品マーケティング要覧 2021 No.2」によると、メンズコスメ市場は2017年から拡大を続けており、2019年には前年比1.6%増の1,199億円となった。2022年には1,237億円まで達すると予測されている。外出自粛やマスク生活が一年以上続く影響で化粧品市場全体は落ち込んでいるにもかかわらず、メンズコスメ市場は成長を続けている。
 加速する「ジェンダーを超えるマーケット」の動きとしてセルフケアに注目する。今回はその第一段としてメンズコスメについて調査していきたい。

身だしなみへのこだわりが増加

  レゾナンス・ラボで行ったZ 世代アンケート(20 年12 月号~ 21 年2 月号【身近なZ 世代のリアルに迫る】シリーズ参照)の中から男性社員の回答を抽出し、化粧品に関する意識を調査した。

調査1:品質・性能重視派がコスト重視派を上回って過半数となり、その回答内容からもそれぞれの体質や価値観によるこだわりを感じる意見が多く見られた。

調査2:趣味や交際費が上位に入る回答が多いなか、12%の回答で「美容」がTOP3にランクインした。

  • 調査1 化粧品を買う時に何を重視して買うことが多いですか?
  • 調査2 ひと月当たりの自己投資TOP3は?

 次に、メンズコスメに関するブランド・専門店・施設それぞれの動きを社会背景とともにまとめたメンズコスメ年表から、大きな流れを捉えていきたい。

メンズコスメ年表

  まず、「世の中の動き」のなかの3 つのポイントに着目して年表を見ていきたい。

 ❶[2016~2018年頃のselfie、SNOW、TikTokからインスタ映え]へと続く流れと、同時期の❷[第3 次韓流ブーム]の流れを経て、❸[2019 年メンズコスメ元年]を境に急加速している様子がわかる。ブランドが先行し次いで専門店、施設へと影響が波及している。これは、レゾナンス・ラボレポート【スポーツがたしなみ化する世界へ】シリーズ(21年3、4月号参照)と同様の現象といえる。

美しさは女性だけのものではなくなった

筋肉に憧れるのが男性だけではなくなったように、美容やコスメはもう女性だけのものではなくなった。性差や年齢差だけで商品や売り場を区分けしてきたステレオタイプの分類に対する人々の捉え方が変化してきた。その影響が目に見える形で大きく表れたのがこのメンズコスメ市場の急成長なのだろう。

 コスメだけでなく、ジェンダーの枠を超えたマーケットはこれから多様なニーズに合わせてさらに広がっていくだろう。レゾナンス・ラボではこれからも引き続き調査、考察を続けていきたい。

文章:伏見 百代

美容感度高27歳社員による新コラム
シゲルのセルフケア事情

 営業マンは日頃から身だしなみを整えておく必要がある。
特に飛び込み営業などの限られた時間では、第一印象が良くなければ悪い先入観を持たれ、冷たくあしらわれる事もある。身なりが綺麗だと自分が話すことも相手に聞き入れてもらいやすいと感じている。
 革靴のケアやシャツのしわ伸ばしと同様で、髪や肌、爪なども常日頃からケアを欠かさない。毎朝晩の化粧水や乳液はもちろん、ジム通いや髭脱毛、香りのいいボディークリームなど、自分が良いと思う商品であれば女性向けであろうと関係なくコスメ売り場へ行き購入する。肌診断などカウンセリングを受けることへも抵抗はない。仕事もプライベートも充実させる為には、清潔感のある身だしなみを整えて常に綺麗な見た目をキープすることが重要だ。

アイデンティティを極めろ!

 久しぶりに目にした雑誌に「男子がビューティを体現する時代」とあった。その後ろには「シェアすれば、もっともっと綺麗に」の特集も。スペックやメソッドに興味の高い男性を味方につけると効果もあがる、という内容だ。気が付けば、ホテルのアメニティもきちんと男性用が。もともと女性らしさでは分が悪い私。性別をこえた個の勝負になってきた今、チャンス到来かもね。

ホテルのアメニティにも男性用が

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