マーケットの動き

ビヨンドジェンダーマーケット Vol.2

 先日閉会した東京オリンピックではスケートボードなど新種目での若い世代の活躍が目立った。男女混合の新種目も大幅に増え、3つの基本コンセプトの1つである、「多様性と調和」の新たな一面を見ることができた。2022年から改正される男性の育休制度においても、取得しやすいよう職場環境の整備が見直されるなど、これまで女性中心の目線で言われることの多かった「男女平等」は「ジェンダー平等」という言葉とともに新しいステージに入っていることを実感する。

 前号では、意識調査の『ひと月当たりの自己投資T O P 3 』で男性の1 2%に「美容」がランクインしたこと、さらに年表を通してメンズコスメ業界の急成長をお伝えした。続編となる本号ではインタビュー調査からインサイトを抽出し、メンズコスメ・ケア事情における定性調査を行う。この考察を通して「ジェンダーを超えるマーケット」の大きな変化の行き先を探り、これからのヒントを捉えていきたい。

美容への興味度をインタビュー調査

 レゾラボメンバーが「清潔感を感じる」「なにかケアをしていそう」と気になった20 代~50 代の当社社員男性を対象に、セルフケアやメンズコスメ、美容に対するマインドに関してインタビュー調査を行った。その結果を『セルフケアへの興味度』を軸にまとめた。

【実施期間】2021年6月~8月

【質問内容】・普段から行っているスキンケアについて
      ・普段の食生活やボディケア(筋トレ・運動を含む)について
      ・上記以外でスペシャルケアとして行っていること
      ・コスメやケアに掛ける金額、購入先(店舗またはEC購入)
      ・美容関連で今後チャレンジしてみたいこと
      ・メンズメイクに興味があるか、抵抗があるか
      ・美意識の目的、周囲の人と会話に出るか 等

セルフケアへの興味度を軸としたインタビュー調査結果

年齢差も超える『ビヨンドジェンダーマーケット』

年齢別インサイト 興味度別インサイト

 ヒアリング調査結果からは、性差だけでなく年齢差も超えた結果が出た。その中でも特筆したいのは、「年齢別インサイト」でまとめたように〈40~50 代〉は根底に「恥ずかしさ」を感じていることだ。幼少期から刷り込まれた「男性らしさ」「男たるもの」という意識が、相反する「美意識」を抑えつけてきた。しかし、ジェンダーの枠に捕らわれない若い世代に引っ張られる形で、40 代以降にも美意識が芽生えはじめている。「興味度別インサイト」では、興味の度合いにより情報収集先や購入先に違いが明確に現れている。

 今回は「ケアしていそう」な人を対象にインタビュー調査を行ったため興味度は偏ると予想していたが、意外にもどの興味度層でも同人数となった。さらに、それぞれの興味度層で年代が分散している。年齢差を超え、個人の価値観や情報量による意識の違いが存在しており、おそらく女性でも同じだといえるだろう。

 今後さらに男性にとっても「自身をケアすること」がより一般化するとともに、個人の価値観に合わせて選択肢は増えていく。売り場空間も、性別や年齢による分類ではなく、その「個人差」での構築が求められていくだろう。

文章:伏見 百代

美容感度高27歳社員による新コラム
「なりたい自分」に近づけてくれる

私はコンプレックスが多い。ニキビや肌荒れをしていたり、体脂肪率が12%以上の時には人に会うことが億劫になってしまう。その為、スキンケアやジムでのトレーニングに時間とお金を惜しみなく費やしている。毎日スキンケアは欠かさず、ジムでは部位を変えて毎日トレーニングをする。少しでも「なりたい自分」に近づく事が出来れば、物事をポジティブに捉えられるようになり毎日が楽しい。外側のケアをしていたにも関わらず、結果的には内側からのハッピーオーラにつながった。「モテたい」という気持ちで始めた美容だが、最近は「心地いい自分」を作り出す為のものとなっている。

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