CONTENTS

 

当社船場といえば「商業施設」のイメージが強いかもしれません。
しかし近年、公園の整備事業をはじめとする公民連携(PPP)の公共空間づくりにも力を発揮しています。
そこでvol.14では、“みなとまち木更津”の具現化に向けて再生をめざす木更津市の「パークベイプロジェクト」における、
船場流まちづくりを前後編でお伝えしていきます。
前編は船場がPPPに取り組み始めたきっかけから、実際に行っている自治体コンサル業務について、
「パークベイプロジェクト」を例に取りながら紹介していきます。

  • 小西 龍人 KONISHI TATSUHITO
    CREATOR事業本部 PPP綜合開発研究所
    クリエイティブディレクター

    1998年入社以来、企画開発・リーシングに携わり「新宿食堂酒場ハル☆チカ」「KITTE博多」「PASAR蓮田」などを手掛ける。「南池袋公園整備事業」をきっかけに仙台市、神戸市、福岡市等の自治体コンサルティングに従事し、2019年にPPP綜合開発研究所を立ち上げ、現在は木更津市の公民連携型の街づくりに注力。

  • 福島 正和 FUKUSHIMA MASAKAZU
    CREATOR事業本部 企画デザインDIV.
    デザインディレクター

    2005年入社(キャリア採用)以来「イーアスつくば」や「東京ステーションシティ グランスタ」等、主に大型SCを手掛け、マスタープランから共用部環境デザイン等、様々な局面でプロジェクトに携わる。 「テラスモール湘南」は基本構想から施設開業まで足掛け5年に及ぶプロジェクトでキャリアの転機となった。

  • 南 雄介 MINAMI YUUSUKE
    CREATOR事業本部 PPP綜合開発研究所
    プロジェクトコーディネーター

    2005年入社。入社以来、全国で専門店づくりの営業企画や商業施設のリーシング等に携わる。2019年よりPPP綜合開発研究所。

都市公園法改正から活発化した公民連携“PPP”

――船場が公民連携プロジェクトに参入したきっかけはなんだったのでしょう。

小西
当社は商業施設といった民間の仕事を多く手掛けてきましたが、実は私は2016年に完成した豊島区・南池袋公園のリニューアルプロジェクトに、自治体側のコンサルタントとして携わっていました。
これがきっかけとなって、社内でも公共の財産を民間の力と連携させて活性化していく「公民連携」の専門部隊を立ち上げようとなり、私と南さんが所属する「PPP綜合開発研究所」ができました。
さらに南池袋公園がリニューアルされた 翌年の2017年に 都市公園法が改正されたことで、公園の新しい活用法を国が後押しする動きがありました。 この時、大阪府・天王寺公園の「てんしば」と並んで南池袋公園が都市公園再生の代表モデルとして注目されたことから、福岡市や仙台市など、全国の自治体さんからお声をかけていただけるようになったんです。

▲南池袋公園(写真:久間建築設計事務所)

 


いま小西さんの話の中にでてきた都市公園法改正の中で創設されたのが、公募設置管理制度「Park-PFI※」です。ひらたくいえば、公園を使って収益を上げたい民間企業と、財源圧縮で公園の維持に苦労を抱えている自治体をつなぎ、お互いWIN-WINになろう、という仕組みです。

※Park-PFIとは 飲食店、売店等の公園利用者の利便の向上に資する公募対象公園施設の設置と、当該施設から生ずる収益を活用してその周辺の園路、広場等の一般の公園利用者が利用できる特定 公園施設の整備・改修等を一体的に行う者を、公募により選定する制度。 都市公園に民間の優良な投資を誘導し、公園管理者の財政負担を軽減しつつ、都市公園の質の向上、公園利用者 の利便の向上を図る新たな整備・管理手法である。
(出典:国土交通省)





Park-PFI制度の大きな特徴は、事業者が収益施設と公園の公共部分をまるっと一緒に整備してください、というものです。
これまで自治体は公園を管理するために支出のみが発生していたわけですが、Park-PFIを利用することで、カフェといった民間企業の収益で公園を管理してもらえ、自治体としても民間事業者から土地使用料の収入が得られます。また公共空間を利用したい出店側にとっては、公園が新たなビジネスチャンスの場になる、というわけです。

小西
その中で我々は、自治体と民間がWIN-WINになるような仕組み作りを「自治体側のコンサルタント」としてお手伝いしています。
たとえばどうやって民間企業を誘致すればいいかわからないといった場合、募集要項作りから自治体様と伴走させてもらい、事業の在り方や 枠組みを一緒に決めていく。それが当社の、自治体コンサルとしての発端でした。

 

描いたイメージを具現化する

―パークベイプロジェクト

――そんな中で船場が木更津市様のパークベイプロジェクトに参入したきっかけはなんだったのでしょうか。

小西
木更津港内港にある鳥居崎海浜公園などの水辺や、港と内港を結ぶメインストリート「富士見通り」の公共空間を公民連携型で、中心市街地の再生・活性化を図り、具現化させる。これがパークベイプロジェクトにおいて当社が担った使命であり、自治体側にたったコンサルや基本計画策定の支援です。木更津市さんとは、自分が若手の頃お世話になったクライアントを介しご縁を賜り、お手伝いをさせていただくことになりました。
そして当初から現在に至り、各フェーズで多様な社内外のメンバーが携わっています。

福島
もともと木更津市様は商業施設の設計を数多く手掛ける海外のデザイン事務所に基本構想のビジョン作成をお願いしており、そのイメージ画がありました。その過程の中では、海外デザイナーと大学の研究室が一緒になってワークショップをやったりもしたそうです。
デザインディレクターとしての私の最初の仕事は、受け取ったビジョンを運用可能なかたちに具現化していくことでした。ビジョンを咀嚼しそれぞれの施設の役割を決め適切な商業テナントをどのように配置するかプランに起こしていく作業です。
その中で都市公園法がどれだけ遵守できているか、商業施設の規模に見合った駐車場が備わっているかなど、法規的な面からも細かくチェックしていきました。

▲(左)法規面などを考慮しイメージを具体化したマスタープラン (右)イメージパース 
(※プラン・パースはあくまで将来のイメージであり、今後変更になる可能性があります。)

 

小西
福島さん率いるデザインチームが 基本計画として具現化を行う一方で、PPP綜合開発研究所の方では事例検証を重ねながら、実際に官民がどのように役割分担をして公園の整備・開発していくのか、事業手法はどうするか。また、有力な開発事業者各社に市場調査を行うなど、様々なコンサル業務を進めていきました。
2019年に大和リース様が鳥居崎海浜公園の事業予定者に選定されてからは、木更津市と大和リース様の間に入り、両者の支援やつなぐ役割をしています。


鳥居崎海浜公園の施設整備と管理運営は、Park-PFIを活用しています。この時、Park-PFIを導入して事業者を募ることが可能かどうか、公募をかける前に事業者に市場調査をかけます。通称「サウンディング」と呼ばれるこのような作業を経て、実際にプロジェクトが進行していきました。
公民連携プロジェクトで自治体コンサルを請け負う企業は、公共施設だけを取り扱ってきた建設業者が多いんです。そんな中で船場の強みは、長年、商業施設を手掛けてきたこと。民間企業に精通した我々が、自治体様と一般企業との間に入ってサウンディングをしながら、一緒にプロジェクトを盛り上げていけるのではないかと思っています。

▲大和リース(株)が事業者として推進する鳥居崎海浜公園整備計画
(※パースはあくまで将来のイメージであり、今後変更になる可能性があります。)

 

福島
募集要項作り等の実務的なサポートに加え、当社の場合、「まちづくり」という大きな絵を時代に合わせたかたちで描くこともできます。
通常のコンサル会社の場合、業務の対応領域が専門的でフェーズによっては外部パートナーと連携することもありますが、当社は幅広くサポートさせていただけるので、その点も自治体様にとっては安心材料になるのではないかと思います。

 

公園の利活用でまちの魅力を高める

――人口減で体力のない地方自治体も少なくありません。そんな中で、PPPを活用したまちづくりの仕組みが根づきつつあるのでしょうか。
小西
経済的に厳しい状況にある自治体さんの場合、公園を整備・維持管理する資金の捻出ができず、原っぱ状態のままになってしまったりすることも少なくないようです。
そこまでいかないという場合にも、結局、毎年の維持管理費をゼロにはできませんよね。例えば公園ならば民間に一部開放して利活用して任せることができれば、行政職員は別の業務に時間を割くことができるし、大切な税金を別のことに活用しようと考える行政が増えつつあるのだと思います。


先進的な公民連携の試みに対しては国から補助金が出る制度もあり、国としても公共施設の新たな開発を後押ししています。

 

――続く後編では、激変する「公共」の今について掘り下げながら、木更津市のまちづくりにおける船場の取り組みをお伝えしています。

▶【後編】“マスタープランは宝の地図づくり” 「木更津市パークベイプロジェクト」を通して見る船場流・公共空間の創り方はこちらからご覧いただけます。