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「木更津市パークベイプロジェクト」に携わる対談企画。
「自治体コンサルティング業務とは?」を聞いた前編に続き後編では、
公共施設の再配置を通して見る「船場流・公共のこれから」を聞きました。
その中で飛び出た「マスタープランは宝の地図づくり」の真意とは…?

▶前編はこちらからご覧いただけます。


(※パースはあくまで将来のイメージであり、今後変更になる可能性があります。)

  • 小西 龍人 KONISHI TATSUHITO
    CREATOR事業本部 PPP綜合開発研究所
    クリエイティブディレクター

    1998年入社以来、企画開発・リーシングに携わり「新宿食堂酒場ハル☆チカ」「KITTE博多」「PASAR蓮田」などを手掛ける。「南池袋公園整備事業」をきっかけに仙台市、神戸市、福岡市等の自治体コンサルティングに従事し、2019年にPPP綜合開発研究所を立ち上げ、現在は木更津市の公民連携型の街づくりに注力。

  • 福島 正和 FUKUSHIMA MASAKAZU
    CREATOR事業本部 企画デザインDIV.
    デザインディレクター

    2005年入社(キャリア採用)以来「イーアスつくば」や「東京ステーションシティ グランスタ」等、主に大型SCを手掛け、マスタープランから共用部環境デザイン等、様々な局面でプロジェクトに携わる。 「テラスモール湘南」は基本構想から施設開業まで足掛け5年に及ぶプロジェクトでキャリアの転機となった。

  • 南 雄介 MINAMI YUUSUKE
    CREATOR事業本部 PPP綜合開発研究所
    プロジェクトコーディネーター

    2005年入社。入社以来、全国で専門店づくりの営業企画や商業施設のリーシング等に携わる。2019年よりPPP綜合開発研究所。

  • ※所属部署、役職は2021年11月現在

公共施設を効率的・魅力的に配置する

―公共施設再配置計画

――木更津市様の「パークベイプロジェクト」では自治体コンサルティング業務の他にもいくつか、船場がお手伝いをしている業務があります。その中で「公共施設再配置(基礎調査)」という、ちょっと難しそうなプロジェクトについて教えてください。

小西
これは公募型プロポーザル方式で、3者コンペを勝ち抜いて受託した業務です。
「公共施設再配置(基礎調査)」とはなにかと言いますと、先ず、「公共施設総合管理計画」というフェーズがあり、自治体は所有するすべての公共資産の管理計画を行い、各公共施設の健康状態を記録した“カルテ”づくりをします。そうしてたとえば 「公共施設全体の1割を削減してスリム化しましょう」となった場合、寿命の近い建物を壊すのか、作り直す場合には移転するのか、公共施設同士を複合化して効率を高めるのかなどを考え、実際に街にプロットし直すフェーズが「最配置」です。
今回は、特に市民生活に密接した庁舎や図書館、体育館、中規模ホール、公民館といった施設をどのように市内に配置し直すのかを考える、というのが業務内容です。


木更津市様の場合、郊外にアウトレットやショッピングモールがあることから、近年郊外に人流が流れがちになっていましたので、市庁舎整備によって中心市街地の盛り上がりをはかっていくことも課題のひとつでした。
そんな公共施設再配置基礎調査に加え、当社では最配置の要ともいえる市庁舎の整備事業者選定コンサルティング業務も受託しています。実は木更津市様の市庁舎は今“賃借庁舎”なんですね。

▲公共施設総合管理計画の考え方

 

▲公共施設再配置基礎調査プラン (出典:木更津市中規模ホール基本計画)

 

――市庁舎が商業施設のテナントとして入っている、ということですね。それは珍しいかたちなのでしょうか。

小西
丸ごとの入居は全国初です。庁舎が耐震性の問題から取り壊しとなり、現在、仮庁舎として木更津駅前庁舎と、木更津駅から20分ほど歩いた朝日庁舎の2 箇所に分かれて庁舎が入居しています。
そして今回の新市庁舎整備では、仮庁舎期間の終了を見据え、民間事業者に市庁舎を複合させて一体的に整備する事業者を2020年秋に公募しました。2021年度に事業者が選定されます。災害にも備えて、今後も庁舎を2箇所に分散します。市庁舎はあくまでも“店子”で、新たな公民連携のカタチを創っていこうとしています。今ちょうど南さんはこの整備事業者の選定事業で多忙を極めているところですよね。


そうですね(笑)。その複合施設を作ってくれる事業者を決めるための実務作業を進めています。具体的には、木更津市様が事業者を選定する際、まちづくりの実績や市の目指すまちづくりを理解しているかなど、審査の手がかりになるチェック表を作っています。

 

 

横断してチームをつなぐ役割

―木更津市飛行場周辺まちづくり構想策定支援

――続いて今年7月末には、「木更津飛行場周辺まちづくり構想策定支援業務委託」を受託しました。本プロジェクトの詳細を教えてください。

小西
防衛省のまちづくり支援事業として、今年度末に基本構想(案)を策定するため、現在協議中です。木更津市は中心市街地から歩いて30分ほどの距離に陸上自衛隊木更津駐屯地があることから、基地と共存したまちづくりを継続して推進していきます。
今回のまちづくり構想は自衛隊基地のそばにある吾妻公園に「文化・芸術ホール」を再配置したり、その他3箇所も対象地区として、地域防災力の強化を図るとともに、中心市街地の定住人口の維持や、関係・交流人口を向上させ、市民と自衛隊との交流も深めていく目的があります。

福島
小西さんが今話したように、当社は公共施設再配置基礎調査の中で中規模ホールの活用についても携わっていた立場だったため、飛行場周辺のまちづくりに関わる自治体コンサルティング業務にも手を挙げた、というかたちです。結果的には8者コンペを勝ち抜いての受託となりました。実際、「当社におまかせいただければ、パークベイプロジェクト全体との連携・整理もスムーズです」ということはコンペの場でも説明させていただきました。
良くも悪くも、自治体の多くは縦割り組織です。その中で横断的に動けるのが、我々のような自治体コンサルの立場。木更津市様の場合も様々なセクションがある中で、ちょうどその真ん中に立って連携を取らせていただいているのが今、当社なのではないかと思います。

 

▲プロジェクト推進体系のイメージ

 


たしかに「我々職員より、船場さんのほうが詳しいよね」とお声がけいただいたことも(笑)。そういう意味でも、自治体の皆様には当社を使い倒していただけたらいいな、と思いますね。

パークベイプロジェクトとの調和を考える

―富士見通り再整備

―――さらにパークベイプロジェクトには、木更津駅直結の目抜き通り「富士見通り」の再整備も盛り込まれています。

小西
富士見通りは内港地区と駅を結ぶストリートであり、パークベイプロジェクトの基本計画でランドスケープの初期構想としてお手伝いしていたのですが、都市整備部から「景観ガイドラインの策定」についてもお声をかけていただきました。
当社のメンバーにも、賑わい空間づくりを得意とする若手設計者を加え、ソフトとハードの両面からアプローチした新しい富士見通りのイメージづくり等を進めています。

▲将来の富士見通りイメージ
(※パースあくまで将来のイメージであり、今後変更になる可能性があります。)

 

福島
パークベイプロジェクトについては船場が会議の場に同席していることが多いということもあり、司会をされている渡辺市長とのコミュニケーションの機会も多く、自治体の皆様と良好な関係性を築けているのではないかと思います。

 

新たな公共空間のカタチ

――今後、公民連携が活性化することで、木更津市様のような「新たな公共空間のカタチ 」がたくさん生まれていきそうですね。


かつての市役所は自ら進んで行くような場所ではなく、用事があるから渋々行くみたいな、ちょっと近寄りがたいイメージだったと思うんです。
でも最近は変化の兆しがあって、親子で過ごせるような大きな広場を市役所の前に備えている自治体もあれば、町おこしのイベントを頻繁に行っている地域もあって。「公民館」が「市民交流センター」へと名称が変わり、そこでマルシェが開かれていたりするのも、公共施設の新しい役割なのではないかと思います。

小西
たとえば 茨城県の土浦市は駅前のイトーヨーカドー撤退後に区分所有権を取得し、2015年に市庁舎がオープンしました。別途、スーパーやカフェも複合しているので利便性が高く、屋根付き広場でイベントも出来る場所です。さらに2017年に駅ロータリーに面し、図書館・市民ギャラリー・銀行等が複合していて、中心市街地の活性化に資する政策を取っているようです。その他、群馬県の沼田市のテラス沼田は大型商業施設を減築して市役所にコンバージョンし高い評価を得た先進的な事例です。

福島
隈研吾さんが設計した新潟県長岡市のアオーレ長岡も有名ですね。屋根付きの広場や5000人収容のアリーナなどが併設された複合型施設で、新潟アルビレックスの試合も行われる。その際はずらっと屋台が並んで、まさに公共サービスの新しいかたちを生み出しましたよね。


本当にそうですね。僕らは商業施設を手掛けることが多かったですが、「居場所づくり」という意味では、「公/民」の区分けはないと思っています。今後もいろんな施設を利活用することで、市民の皆さんに長く愛される居場所づくりに貢献していきたいですね。

福島
私の専門であるデザイン領域の話で言うと、これまではショピングセンターの中のマスタープランを描いてきましたが、パークベイプロジェクトはまさに「まちづくり」。
皆さんの生活を彩る多様な機能をどうやってまちに落とし込んでいくのか。難しい仕事ですが、僕にとってその作業は、まるで宝の地図を描いているような感覚なんです。ワクワクするような宝物がまちのあちこちに埋まっているーー。そんなマスタープランを今後も描いていきたいと思っています。

小西
PPP綜合開発研究所に所属する前から、私の中には「地方を大切にしたい」という思いが強くありました。大都市だけでなく地方を元気にすることが、さまざまな社会課題の解決にもなるのではないかと思います。
皆の財産である公共空間を豊かなものにしていく。その重要性は都市であれ地方であれ、変わりありません。当社としても、全国の自治体様と一緒に課題解決のお手伝いをしていければと思います。

 

▶【前編】『船場が目指す新たな“公共空間のカタチ”「木更津市パークベイプロジェクト」』 はこちらからご覧いただけます。

 

 

 

木更津市 渡辺芳邦市長

本市は、木更津発展のシンボルである「みなと」を活かし、木更津駅及びみなと周辺の一体的なまちづくりを進め、にぎわいや活力に満ちた、みなとまち木更津の再生をめざしています。
そして、2022年春にはパークベイプロジェクト第一弾の鳥居崎海浜公園が再整備されオープンします。中心市街地活性化への取り組みなど、賑わい創出に向けた動きも顕在化してまいりました。
船場さんには多くのプロジェクトにご参画いただき、共に魅力あるまちづくりに励んでいただいております。本市は、今後も地域社会を形成する各企業や市民の皆様など、多様な主体と有機的に連携・補完しながら「オーガニックなまちづくり」に取り組んでまいります。注目してください!

 

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