想いの交錯から実現したプロジェクト
高砂熱学工業 榎本 所長:
リニューアルをするきっかけですが、旧営業所は執務エリアとミーティングエリアが横続きになっていまして、例えば、ちょっとした打合せをするにしても、隣で電話かけている声が気になったりと手狭に感じていました。また、社員の個人面談や、プライバシーにかかわる話をするスペースがなく、大きな会議を行う時は外部の会議室をその都度借りていたりと、実用的ではなかったのです。そこで、オフィスを拡張したいという想いを持っていました。
また、この営業所は施工外勤者が多く、社員が各現場に点在しています。月例会議などがない限りなかなか営業所に来ることもなく、社員間のコミュニケーションが少なくなっていました。そこで、施工外勤者が立ち寄りたくなる雰囲気のオフィスにしたかったんです。また、多摩営業所の社員だけでなく、他の事業所の社員も気軽に立ち寄ってサテライトオフィスのように活用できるスペースがあれば便利だと考えていました。
東京本店としては、今後船場さんと、内装を含めたリニューアル工事を協働していきたいというお話をしていたタイミングで、社内でモデル現場になる事業所・営業所を探しました。これらが重なり、今回の多摩営業所のリニューアルに至りました。

船場 小野田:
高砂さんとは、同じ建設業に関わりながら全く違うフィールドで、近いようで遠い関係の中、ご一緒する機会がありまして、今後協業しながら新しいビジネスモデルを構築していきたいと思っており、今後の展開について面談、打ち合わせさせていただいていたところでした。そのようなタイミングで榎本様との想いと合致して、ではやってみましょう、ということで今回のリニューアルが動き始めました。
榎本 所長:
あと、これから先の仕事の在り方を考えると、この営業所にいながら現場の状況を確認できたり、丁度、今もつなげていますが、本店とのテレビ会議を簡単にできたり、旧営業所ではハード的に難しく出来なかったIT活用等を今回のリニューアルで強化しました。
今後、次世代型施工外勤業務を目指していく中で、組織運営や、社員間のコミュニケーションの円滑化がはかれたら理想的ですよね。
多摩営業所の東京本店におけるポジション
榎本 所長:
東京本店の管轄は、東京都と千葉県の1都1県です。都内23区を4つの地区に分けて、それぞれを第1から第4事業所が担当しています。また、都内の超大型プロジェクトを担当している第5事業所、千葉県全体を担当している千葉営業所、そして、都内23区以外の多摩地区26市町村エリア全域を担当しているのが多摩営業所となります。また、大まかにエリアで区分けされていますが、長くお付き合いさせていただいているお客様などは、状況に応じてエリアに関係無く対応させていただいています。

船場 椎葉:
今回のリニューアルにあたって、当社の方で大切にした点は大きく2つあります。ひとつは、この多摩営業所は高砂さんが取り組む働き方改革における初のトライアルの物件ということで、これからの新しい働き方ができるスペースをつくることにこだわった点です。当然ながら多摩営業所に勤務される方々が快適に過ごしていただくということも大事ですし、今までになかったスタイルの働き方を作ること、例えば固定式のデスクの他に、他の事業所の方がリモートワークしやすい自由な空間や、座っても立っても作業ができる空間など、各々にあった働き方を選んでいただくことが出来るようにしました。
もうひとつは、先程榎本所長もおっしゃっていたように、いろんな人が集まる場所にしたいと。他の事業所の方はもちろん、多摩エリアのクライアントさんもよくお見えになられるとうかがい、そういった方々がいらした際に何か驚きを与えることが出来る空間であるようこだわりました。オフィスといえども社外の方が来ることも多いので、“魅せる”オフィスを目指しました。
榎本 所長:
いらっしゃるお客様も「おーーっ!」とみなさん驚かれます。カフェみたいだとか、もうオフィスの概念を覆しているので。
毎回新たな発見があるオフィス
榎本 所長:
私たちは、ご覧のようにスーツが基本ですが、船場さんはパッと見カジュアルな雰囲気でいらっしゃるので、フランクに接することができ、打ち合わせもしやすかったです。おかげでこちらの意見や要望もかなりうまい感じで引き出していただいて、感謝です。そんな打ち合わせから出てくる図面を見たときは、「さすがプロだな~!」と感じるデザインで、毎回驚かされました。
高砂熱学工業 本橋主任:
時計もオリジナルで、世界に一つしかないものをあつらえてくださったり、こちらの期待以上のものを毎回持ってきてくださいました。
榎本 所長:
今回、曲線を使ったり、パッと見てカフェっぽくなっていますが、最初は全く違う案だったんです。
小野田:
守りに入ったような・・・デザインで・・(笑)
榎本 所長:
それでも十分素敵なデザインで、私は気に入っていたのですが、東京本店長から、「もっと面白く、冒険してもいいんじゃないの?どうせやるなら斬新に!」との意見が来まして、どこまでやっていいのか、こちらも迷いながらお願いしていたところ、あれよあれよと言う間に、いまのデザインに変わっていきました(笑)
椎葉:
もう思い切って振り切っていいかな、と(笑)。そう言う意味では我々のアイデアだけでなく、高砂さんの情熱や、想いがあったおかげです。

榎本 所長:
先日50人ぐらい集めて会議をしたんです。前のオフィスでは考えられないことで、そういう使い勝手など、実際に使って気づくこともたくさんあるので、その辺もよく考えていただいたなと感じてます。
他にもちょっとした遊び心で当社のロゴマークをライトプランに反映していただいたり、面白いアイデアと斬新さが今回の大きな驚きです。また色使いも驚かされました。パースを見たときは正直暗くなるんじゃないかと思いましたが、実際出来上がった空間は、落ち着きがあって、おしゃれで、けっして暗くない。この仕上がりを最初からイメージできて、それに向かって進められるのが、さすがデザインのプロだな、と思いましたね。
一番驚いたのは、オフィスを鳥瞰で見ると、高砂のロゴマークをイメージしたデザインになっている点です。毎回いろんな発見と驚きがありましたね。
本橋 主任:
あと、このフロアは3種類の素材でできているんですが、歩くと音が変わるんです。私はここをよく歩くので、そんな靴音の変化も楽しませてもらっています。
収納スペースもさりげなく沢山作っていただいて、スッキリと片付きます。椎葉さんが女性の視点を取り入れてくださったおかげです。常に整理整頓してきれいにしようという気持ちになるのもありがたいです。
椎葉:
私どもも、“魅せる”大切さを学ばせていただいたプロジェクトですね。
本橋 主任:
他の事業所の方がいらした際に、新しいオフィスがどうなっているのか、どれだけ収納があるのか、色々お話しさせていただくんですが、見た目のスッキリさと裏腹に思った以上に収納されていることに驚かれます。私たちもスペースをきれいに使おうと思えたり、カフェコーナーを用意したりだとか、今までにない気分にさせてくれたのはこのデザインの力なのだと思います。
中には目をうるませて、「本橋さん、この営業所で良かったですね!ホントに素敵なオフィスで働けて羨ましいです!」と感動してくださる方や、社内報で紹介された後は、遊びに行きたいという意見も多数寄せられて来ます。多摩営業所に異動したいという人もいるくらいで、本当に空間デザインの力ってすごいな、と感じています。

人を惹きつける空間
榎本 所長:
この反応は今回のリニューアルで目指した部分でもありました。多摩営業所の若手は、他の事業所の様に築浅のきれいな場所で仕事をしているわけではなく、ましてやオフィスの中におしゃれなカフェがあるわけでもありませんでした。リニューアルをすることで、彼らがこの営業所に来ることを「楽しい」と感じてもらえれば、そんな環境で働くことに喜びを見出してもらえれば、すごくいいな、と思ったので、この反響は狙い通りです。
施工外勤の社員が立ち寄ることも多くなり、コミュニケーションが増えました。お互いが担当している現場の情報交換だとか、仕事をより円滑に、そして精度を上げていく会話もできるので、人が集まる場所として当初の目的は十分達成できています。
現在はサテライトオフィスとして実際に使われていますし、他の支店の社員が視察に来た時も、「全社的にこういうスタイルにすればいいよね!」なんて意見も出るくらい反響が良く、この営業所を起点に未来の働き方や、コミュニケーションの活性化が推進されると、会社に対する社員のエンゲージメントも高まりますよね。結果として業績が向上していく、そんな空間に仕上がったことに感謝しています。